明治大学・弾薬庫跡の見学会を開催しました
2月27日、明治大学・弾薬庫跡の見学と題して
明治大学平和教育登戸研究所資料館を訪れました。
当日は、参加者・スタッフ計17名での見学会となりました。
6万坪の敷地の明治大学生田キャンパス内に
登戸研究所資料館はあります。
登戸研究所(正式名称:第九陸軍技術研究所)は、
戦前に旧日本陸軍によって開設された研究所です。
戦争には必ず「秘密戦」が存在するそうです。
登戸研究所では、防諜(スパイ活動防止)・諜報(スパイ活動)・
謀略(破壊・かく乱活動・暗殺)・宣伝(人心の誘導)という
秘密戦の側面を担っていた研究所です。
ここで、その為の様々な秘密兵器が開発されました。
初めに、登戸研究所資料館開館までのドキュメンタリービデオを見ました。
次に、資料館内の見学です。
ガイドの渡井さんにご説明を頂きながら、各展示室をまわりました。
まずは、暗室と呼ばれる部屋。
入口がクランクになっていて外からの光が届かない作りになっている
部屋です。一瞬、電気を消していただきましたが、本当に真っ暗に
なりました。
次に、第1展示室<登戸研究所の全容>を見学しました。
こちらでは登戸研究所全体の地形や建物ジオラマの展示がされていました。
約11万坪の広大な敷地の中に様々な役割を持った建物が配置され、
約900名の人員が働いていたそうです。
研究・開発内容は決して外部に知られてはいけなかった為、
「登戸研究所」と秘匿名でよばれていました。
当初は、電波兵器の実験場としてスタートした為、小高く(電波を
飛ばしやすい)、周りに人が余りいない登戸という場所が選ばれた
そうです。
第2展示室<風船爆弾と第一科>
こちらでは、実物の1/10の風船爆弾模型が展示されていました。
偏西風に乗ってアメリカ大陸まで、確認されているだけでも361発
の風船爆弾が到達したそうです。
素材はなんと和紙!和紙5枚をこんにゃく糊で接着し、
化学処理を施して弾力性や防水性等を持たせ、
中には水素ガスを充填したとのことです。
アメリカまで約2日程で到達と聞き、皆さん驚いていました。
第3展示室<秘密兵器と第二科>
こちらでは、暗殺用毒物・生物兵器・スパイが使用する特殊インクや武器
などを開発していた第二科について紹介されていました。
第二科の活動内容を知ることができる第一級資料「雑書綴」の複製が展示されていまし
た。
第4展示室<偽札製造と第三科>
第三科が行っていた偽札製造と中国における偽札使用について紹介。
研究所内でも特に秘密とされ、同じ研究所で働く人達も、この建物内で
何が行われているか知り得なかったそうです。
第5展示室<敗戦とその後の登戸研究所>
本土決戦に備えて移転した長野県に残された実験器具や、大量に持ち込ま
れた軍事秘密「石井式濾水機濾過筒」の実物が展示されていました。
濾過筒は水をきれいにするためのものです。濾過筒に使用されている珪藻土
によって人体に影響を与える細菌を濾過できるので,汚水を飲み水にすることが
できました。
この性質から,細菌戦が行われても,細菌に汚染された水を飲み水にできるので,
長野県に濾過筒が大量に残っていたと云う事は本土決戦下で細菌戦の準備があった
ことが考えられます。
渡井さんの詳しい説明と、様々なエピソードを交えたお話に、
皆さん熱心に耳を傾けていました。
こちらの資料館は、対動植物生物化学兵器を研究開発していた
建物を資料館として保存・活用されているそうです。
資料館内の見学の後、敷地内に残されている登戸研究所史跡を
引き続き渡井さんにご案内いただきながら見学しました。
<倉庫跡>
薬品庫として使用されていたと推定されているそうですが、
詳細は不明とのことです。
正面にある五芒星(☆)は、旧日本陸軍
のマーク。
<旧本館一帯>
ヒマラヤ杉並木・車寄せへのアプローチなどが当時の姿のまま残っていました。
<動物慰霊碑>
登戸研究所では数々の動物実験が行われたとのことです。
この動物慰霊碑は、1943年に建立、慰霊碑の裏には
「陸軍登戸研究所」と記されていました。
<弥心神社>
1943年に建立された神社。
当時は研究(知恵)の神様をまつっていたとのことです。
約2時間の見学会は、戦争の裏側を知る貴重な機会となりました。
私自身、秘密戦という存在を初めて知り、戦争の残酷さ悲惨さを
改めて痛感するとともに、研究所で働かれていた方々は勿論、
この時代を必死で生き抜いてこられた方たちに思いを馳せる時間
となりました。
参加者の皆さんからも、「知らないことをたくさん学べました」
「身近な場所にこのような歴史を知る場所があると知らなかった、
この企画を行なっていただいてありがたかった」という感想を
いただきました。
身近なところから少しずつ、また皆さんと平和について考える機会を
共有できたらと思った一日でした。
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