ネーブルオレンジ収穫体験!(小田原交流果樹の学校)
今年初めての小田原交流「果樹の学校」スタートです!
今回1月10日は、晩柑「ネーブルオレンジ」の収穫です
ネーブルとは英語で「navel」(おへそ)。
果実の下部分におへそのような丸いくぼみがあるために付いた名前だそうです。
このおへそはネーブルの中にあるもう一つの小さな果肉部分が顔を出しているそうなので
虫食いとかではないのです。私は初めて知りました
1月に収穫しても、酸を抜くために2か月ほど貯蔵するので出回るのは3月頃。
収穫してすぐに出荷かと思ってたので、びっくりしました。美味しくなるのに時間がかかるんですね
収穫方法はみかんと同じで、実の付いた枝を少し長めに切ってから、ヘタのすぐ上で短くカットします。
2度切りしないと、コンテナの中で実同士がぶつかったときに、残った枝で実を傷つけてしまうのだそうです。
傷がつくと腐敗の原因になります
収穫の際にも爪で果実を傷つけないように軍手を着用しました。
後で選別するそうなので、なっている実を全て収穫します。
ですが、収穫しやすい場所に果実がなっているわけではないので、樹の内側にも、
樹の上の方にもオレンジ色の個体が見えます
入り組んだ枝をかき分け、わずかなスペースに身を入れ収穫。
斜めになった山に脚立を置き収穫。脚立が入らない場所は、樹登りしながら収穫。
脚立も一番上まで登ると高さが出て、さらに傾斜なので怖かったです
(樹の中に入っている石井さん↓)
樹に登りながらの収穫は、慣れていないせいか足場に困り、枝もしなるので揺れながら
両手を放して実を収穫するのは大変困難でした。(結局一つも収穫できませんでした)
その横で、還暦を過ぎた石井さんがひょいひょいと樹に足を掛け、ササッと収穫していました
オレンジ色でいっぱいだった樹が、収穫後にはこのように
かかった時間は、大人5人+子供2人で30分くらいでしょうか。
収穫途中で、かいよう病にかかってしまった葉を見つけました。
この病気は、風などで葉同士がこすれ傷が出来たところに病原菌が侵入し、かかってしまうそうです。
この葉の近くの果実は、かいよう病の斑が出やすくなります。
軽度のものは、味や中身に影響ないのですが、見た目が悪くなるし樹も弱るので、困る病気だそうです。
見つけ次第、枝を切るなどの対処もしているそうですが、大きな樹がたくさんある山を見回るのは大変です
柑橘類のほかにキウイや梅も作業しなければなりません。
パルシステムでは、なるべく農薬に頼らない農産物を推奨しているため、病気の予防農薬は使用できません。もちろん除草剤も。
この日も、「今季は暖冬で、いつもなら冬は草刈りをしなくても良いのに、結構生えちゃっててさー。
みんながくるから慌てて草刈りしたんだよ。」と苦笑いしていました。
作業の中で草刈りが一番大変だそうで、他の農家の方にジョイファームへ卸すのを勧めても
”除草剤が使えない”という時点で嫌がる方が多いそうです。
さらに、エコ・チャレンジ農作物として出荷しても、糖度が少し足りないとか柔らかいとかで
返品もしくは有料の廃棄になることもあるそうです。
みかん類は、四国の方に比べると温度差があるため酸味が少し強くなります。
糖度の検品は”糖度センサー”のみなので、糖度だけを追いかけると小田原は少し不利です。
でも、糖度と酸味のバランスが取れているものの方が美味しいと感じるのは
今まで試食&糖度計で糖度を測った結果を見て驚いたことから学びました。
石井さんはキウイも生産されていますが、キウイは樹では熟さず人工的な追熟が必要です。
この追熟も程度が難しいと言います。
収穫し追熟後に袋に入れて出荷→検品センターに到着、検品。
この間にも追熟は進んでいます。気温が高くなれば進みも早くなります。
検品センターで柔らかい状態だと配達までにぐずぐずになる可能性があるためアウト。
ですが、追熟が未熟だと配達後にどれだけ放置しても柔らかくなりません。
何も知らずに食べてしまうと「酸っぱーい!!」とクレームにもなりかねません。
石井さんのお宅で追熟をしっかりされたキウイを試食させていただきましたが、
柔らかいけど香りが良く、甘くてとても美味しかったです
去年は気温が高く、追熟が早く進んでしまい、返品になってしまったりしたキウイを2tも
廃棄したそうです。廃棄前に一部購入しましたが、何も問題ない美味しいキウイでした。
廃棄の際にはかなり心を痛められたのではないでしょうか。
4月から数回参加させていただいて分かったことは、
・一般に生産されている物よりもエコ・チャレンジの物が手間がかかる
・出荷してもすべて流通できるわけではない
・食味には問題ないのに廃棄分がかなり多い
・出来は天候に左右されるためリスクが高い
ということです。
天候で出来が悪ければ収入が少なくなり、さらに流通もされないとなるとモチベーションも下がります。
私たち消費者は他の物を選べば良いかもしれません。TPPの影響で海外からも安い果物が入ってくるでしょう。
それでも私は、ポストハーベストの心配などがない、国産の農薬を抑えた物を選びたいです。
日本の農業は高齢化と後継者不足の問題を抱えているのだと毎回考えさせられます。
高齢化のなか、エコ商品を生産してくれている生産者を、買い続けることで支えていきたいと思っています。
全てを問題の言い訳にしてはいけないと思いますが、現状も加味して対策を考えていかなければならないのだと改めて思いました。
みなさんはどう思われますか?
↑前日に収穫したオレンジで出荷できないもの。コンテナに3つほどありました。
色が悪いのは、”かいよう病”の葉から2次感染してしまったため。
これだけ見た目が黒っぽくなっていると食べられないのでは?とか
病気だから良くないでしょうなどと思われるかもしれません。
中身がどのようになっていて、味はどうなのか確かめてみました
皮をむいてしまえば、甘くておいしいオレンジでした
このほかにも、かいよう病が出ているオレンジも切ってみましたが、こんな感じで中は普通のオレンジです
こんなに美味しいのに見た目が悪いというだけで食べてもらえないなんて、オレンジもかわいそうですよね
国内の自給率を上げるためにも、食べ物を大事にするという意味でも
新しい流通方法が出来ると良いなと思わずにはいられませんでした
さて、次回は青島みかんを使用したみかんジャム作りに参加予定です。
平塚エリアでも、2月19日(金)にみかんジャム作りの企画を計画中ですので
しっかり教わってきたいと思います
(ひまわり)
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