横浜北エリア・年間おすすめ商品である『米沢郷鶏肉』。
その『米沢郷鶏肉』をよーく知るために6月11日横浜北センターにて《学んで味わう ♪ 米沢郷鶏肉》を開催しました。
講師にはパルシステム連合会の方とパルミートの方、
そしてお忙しい中、”米沢郷牧場”の伊藤幸蔵代表取締役がかけつけてくださいました。
伊藤代表は時間の許す限り米沢郷牧場の話から世界の畜産の話まで
幅広くお話しくださいました。
その時の貴重な内容をお伝えしたいと思います。
~米沢郷牧場のある場所~
山形県の南部、東北新幹線・福島駅の二つ先、山形新幹線
・高畠駅がある高畠町に”米沢郷牧場”はあります。
高畠町は昼夜の寒暖の差が大きく、山々から湧き出す水も潤沢で農作物を作るには大変恵まれ、
味も香りも良いものが生産されています。そんなこの町は”まほろばの里”とよばれているそうです
”まほろば”とは「素晴らしい場所」「住みやすい場所」を意味し、
美しい日本の国土とそこに住む人々の心をたたえた古語です。
”米沢郷牧場”はその美しい土地を守るために
「自然型循環型農業」を目指して日々取り組んでいます。
「自然型循環型農業」を目指すことは、「土」「水」「大気」そして「微生物」の間の
自然の物質循環を全体的に取り戻すことにつながるのです。
その取り組みにより高畠町では養鶏や稲作だけでなく、
一年を通じて様々な野菜・果物が栽培されています。




~みなさんが日々口にする「鶏」って~
ところでみなさんは「鶏」がどのような一生をおくっているかご存知ですか?
一般にいうブロイラーとよばれる「鶏」は短期間で成長させるのを狙いとして作った品種です。
そして近年は徹底した育種改良により1日当たりの成長率がどんどん上がっているそうです。
自然界の鶏が成鶏に達するのに4~5か月かかるところを40~50日で成鶏に達します。
話がそれますが、日本で一番需要がある鶏肉は鶏モモ肉ですが、
それはモモ肉の旨味が日本人の嗜好にあうからだそうです
日本以外の国では低カロリーで栄養価の高いムネ肉が好まれるため
”ムネ”の部位だけが発達するような育種改良もおこなわれているそうです。
そのように育種改良された鶏たちは急激に”ムネ”だけが発達するため心臓が追い付かずぽっくり死んでしまうこともあるそうです。
話は戻りますが、ヒナから成鶏になるまでの間、鶏たちは劣悪な環境(窓のない鶏舎・遺伝子組換の飼料・大量飼育)により
病気に感染しやすくなります。。
その病気の発生を抑え、成長を促進するために、出荷前の7日間を除き、抗生物質等を飼料に混ぜて育てます。
私たちに都合のよいように育てられる鶏たちは不幸ですが、
抗生物質の乱用や有害物質の残留により環境破壊は進み、いずれ私たちの身に降りかかってくるものもあるのです。
すでに降りかかってきているのかもしれません。
パルシステムの産地では、
ヒナから成鶏になって出荷されるまで全期間において抗生物質を飼料に混ぜて与えることはしません。
病気を薬で抑えるのではなく、ストレスの少ない環境を作ることや、こまやかな管理によって健康に育てています。
~米沢郷牧場~
”米沢郷牧場”は設立されて35年になります。
そしてパルシステムの前身との新たな取り組みをスタートさせたのは1980年のことでした。
当時としては画期的な「無薬」の実験飼育にパルシステムと連携して挑戦!
全期間で飼料に抗生物質・合成抗菌剤を使用しない飼育を確立しました。
1980年に1000羽で始めた飼育も今では年間100万羽を飼育する規模となっています。
飼料についてですが、当時は遺伝子組換された作物による飼料はなかったため
非遺伝子組換飼料を与えていることをあえて主張する必要はありませんでした。
それから約20年、遺伝子組換の作物が世の中に出回り始めました。
そのために1998年からは非遺伝子組換(Non-GMO)の飼料に限定して与えている旨を明確にするようになりました。
そして非遺伝子組換飼料であるというだけでなく、
2008年からは規格外米・飼料米を配合し、国内飼料率アップへの取り組みを積極的におこなっています。
現在、日本の畜産の飼料自給率は25%ほどです。
しかし米沢郷牧場では自家配合できる飼料工場において全飼育期間で5%の飼料米を配合。
地元の食品工場からでる食品副産物の未利用資源を活用して国内原料100%の飼料作りを目指して取り組んでいます。
米沢郷牧場では、畜産を営む以外に米や野菜、果物を生産しています。
飼料米を生産し、脱穀した際にでるもみがらは鶏舎の敷料として利用されています。
鶏舎で使用された敷料は糞尿ごと自前のたい肥センターで半年かけて自然発酵されます。
そしてその堆肥は使用する作物に合わせて配合を調整され農家に届けられているのです。
米沢郷の果物などの作物にも活用しています。
この循環こそが、パルシステムがめざすべき「日本型畜産」なのです。
米沢郷牧場では「自然型循環型農業」を目指すために重要となる「BMW」技術を1992年より導入。
「BMW」技術とは「BacteriaMineralWater=土壌微生物と岩石のミネラル」を利用して汚水を浄化する技術です。
汚水(牛の糞尿液)を浄化して作られた生物活性水は米沢郷牧場をはじめとする高畠町のありとあらゆるところで多岐にわたり利用されています。
肉鶏・肉牛の飲用水、有機廃棄物の分解促進と有機質堆肥の活性溶液、鶏舎の消臭剤としての噴霧、他の耕地への散布による土地改良など。
生物活性水により米沢郷牧場が目指す「自然型循環型農業」は実現しているのです。
ここからはもう少し詳しく”米沢郷牧場”の「鶏」についてつづります。
一般の養鶏場は、大規模な密閉型の鶏舎に鶏を収容していますが、
”米沢郷牧場”では健康な鶏を育てるために開放型鶏舎に収容しています。
健康な鶏を育てるうえで新鮮な空気と温度管理が大切だからです。
高畠町の四季、その時期その時期の朝晩の気温に合わせて鶏舎内の温度管理をおこない、
坪羽数を調整しながら飼育しています。
孵化したばかりのヒナは病気に対する抵抗力が弱く、成鶏より体温が低い上に、
体温の調節機能が充分ではなく羽毛の保温力が乏しいため、
適切に給温し、常に適温に保ってやることが重要なのだそうです。
また鶏舎内を衛生的に保つことが必要なため敷料は飼料米のもみ殻を利用しています。
一般の敷料はダンボールが主流ですが、もみ殻は鶏の糞の水分を吸収するうえ、カビないのです。
敷料として使用されたもみがらは堆肥化され、安全なたい肥として農作に活用されます。
3週令(孵化して3週間)になると産毛から親の毛に生え変わることで羽毛の保温力は高まり、
また外気温に対する順応性も高くなります。
鶏たちの健康状態は体重からしかわからないため頻繁に体重測定をおこないます。
これらのこまやかな管理によって米沢郷牧場の鶏たちは大切に育てられているいるのです。
夏場の坪羽数は37~40羽/坪、他の時期は42~45羽/坪で、一般の1/2になります。
特別な育種改良をしていないため飼育期間も一般のものより長く50日以上となっています。
~学習会を終えて~
”米沢郷牧場”の伊藤代表より米沢郷牧場のことだけでなく経済動物となってしまった日本の畜産の現状、そしてこれからのことについてもお話を伺い、
自分たちの口に入れるものに対してあまりにも知らな過ぎることに驚きを隠せませんでした。
参加者の間からも途中どよめきが起こり、みなさんも同じことを考えられたのではないでしょうか。
これからはもっと貪欲に、ふっと頭に浮かぶ疑問をそのままにせずに、食に関心を持ち続けなければと考えます。
今回の学習会で米沢郷鶏肉が美味しいだけではなく、安全な飼料を与えられ、健康に配慮したこまやかな管理によって飼育された鶏のお肉であるということがわかりました。
これだけ手のかけられた鶏肉を一般のものよりちょっとだけお高いお値段でいただけることは大変貴重なことに思えます。
私たちはこれからも米沢郷鶏肉を食べ続けることで応援していきたいと考えます!
伊藤代表、学習会当日は山形からかけつけてくださり、貴重なお話をわかりやすくお話しいただき本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。
~震災による被害~
米沢郷牧場の取り組みを知るとみなさん気になるのが2011年の震災のことだと思います。
あの震災は春だったため米沢郷牧場のある山形県には日本海側からの風が吹いていました。
その為放射性物質に汚染されることもなく大切な土地を守ることができました。
また鶏にとって大切なエサ。
鶏というのは一日でもエサを与えることができないとうまく育たなくなってしまうのだそうです。
水だけでは生きていることはできても出荷が可能な鶏には育たないのです。
米沢郷牧場には自前の飼料工場があるため鶏たちがエサに困ることはありませんでした。
しかし飼料工場を持たない東北地方の養鶏場の鶏たちはすぐにエサに困ることとなり
あの震災のせいで数千万羽の鶏たちが殺処分されたそうです。
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